サーバーが壊れたらどうなるの?
質問:もしサーバーが壊れたらどうなりますか?修理するまでサービスは止まるのですか?
サーバーが壊れたら、サービスが止まる? 修理するまでお客様を待たせる?
安心してください。大丈夫です。
適切に設計されたシステムでは、サーバーが壊れてもサービスは止まりません。

答え:サーバーが壊れてもサービスは止まらない仕組みになっています
結論:
重要なサービスは複数のサーバーで動いている
↓
1台が壊れても、他のサーバーが処理を引き継ぐ
↓
ユーザーは気づかないことも多い
つまり:
- サーバーは1台じゃない
- 複数台で分担している
- だから、1台壊れても大丈夫
コールセンターに例えると分かりやすい
サーバーの仕組みは、小さな会社のコールセンターに例えると分かりやすいです。
1台しかないサーバー = オペレーター1人だけの会社
オペレーターが1人だけの場合:
- その人が休んだら、電話に出れない
- お客様は待たされる
- サービスが止まる
これは危険です。
複数台のサーバー = オペレーター2人以上の会社
オペレーターが2人いる場合:
- Aさんが休んでも、Bさんが対応できる
- お客様は待たされない
- サービスは止まらない
これが安全です。
3つの仕組み:ロードバランサー、フェイルオーバー、バックアップ
サーバーが壊れても止まらない仕組みは、3つあります。
- ロードバランサー(負荷分散装置)
- フェイルオーバー(自動切り替え)
- バックアップ(データの複製)
それぞれ、コールセンターに例えて説明します。
1. ロードバランサー(負荷分散装置)
コールセンターの例:代表番号からの振り分け
お客様から電話がかかってくる
↓
代表番号(03-1234-5678)につながる
↓
Aさんが対応中
↓
自動的にBさんに電話が回る
↓
Bさんが対応
特徴:
- お客様は代表番号にかける
- 裏で誰が対応するかは、自動で振り分けられる
- お客様は誰が出るか気にしない
サーバーの場合
ユーザーがWebサイトにアクセス
↓
ロードバランサーに届く
↓
サーバー1が対応中
↓
自動的にサーバー2に振り分ける
↓
サーバー2が処理
特徴:
- ユーザーはURLにアクセスするだけ
- 裏で何台のサーバーが動いているか気づかない
- 1台が壊れても、自動的に別のサーバーに振り分ける
イメージ図
お客様(ユーザー)
|
代表番号(URL)
|
ロードバランサー
/ | \
/ | \
Aさん Bさん Cさん
(サーバー1)(サーバー2)(サーバー3)
1人が休んでも、残りの2人で対応できる。
2. フェイルオーバー(自動切り替え)
コールセンターの例:交代要員がいる
Aさんが急に体調不良で倒れた
↓
待機していたBさんがすぐに代わって対応
↓
お客様との会話は途切れるかもしれない
↓
でも、すぐに別の担当者が引き継ぐ
特徴:
- メインの担当者が倒れても大丈夫
- 待機していた人がすぐに代わる
- サービスは数秒で復旧
サーバーの場合
メインサーバーが故障
↓
待機サーバーが自動起動
↓
ユーザーの接続が一時的に切れる
↓
でも、数秒〜数十秒で復旧
特徴:
- メインサーバーが壊れても、待機サーバーがすぐに動く
- 自動的に切り替わる
- ユーザーは一瞬「あれ?」と思うかもしれないが、すぐに復旧
イメージ図
通常時:
メインサーバー(働いている)
待機サーバー(待機中)
故障時:
メインサーバー(壊れた)
待機サーバー(自動起動!)
交代要員がいるから安心。
3. バックアップ(データの複製)
コールセンターの例:大阪店と東京店がある
大阪店が臨時休業
↓
東京店で対応できる
↓
顧客情報は両方の店舗で共有されている
↓
お客様は「前回の相談内容」を最初から説明し直さなくていい
特徴:
- データは複数の場所に保存されている
- 1つの店舗が休みでも、別の店舗で対応できる
- お客様は同じサービスを受けられる
サーバーの場合
サーバー1が故障
↓
サーバー2でデータを保持している
↓
ユーザーの登録情報は失われない
↓
ユーザーは何も気づかない
特徴:
- データを複数の場所(サーバー)に保存
- 1台が壊れても、別の場所のデータを使って運用継続
- ユーザーの登録情報や過去の履歴も失われない
イメージ図
大阪店(サーバー1)
|
顧客情報(データ)
|
東京店(サーバー2)
データは2ヶ所に保存されている。
対比表:1台 vs 複数台
項目 | 1台しかない | 複数台ある |
---|---|---|
オペレーター | 1人だけ | 2人以上 |
1人が休んだら | サービス停止 | 別の人が対応 |
電話の振り分け | 1人だけに集中 | 自動的に振り分け |
データ | 1ヶ所だけ | 複数の場所に保存 |
店舗 | 大阪店だけ | 大阪店・東京店 |
共通点:
- 複数で支え合う
- 1つが止まっても、他が動く
- それが「冗長化」
冗長化(redundancy)とは
冗長化 = 予備を用意すること
オペレーター2人
↓
1人が休んでも、もう1人がいる
↓
これが「冗長化」
サーバーも同じ:
サーバー2台
↓
1台が壊れても、もう1台がある
↓
これが「冗長化」
修理はどうするの?
コールセンターの例
Aさんが体調不良で休み
↓
Bさんが1人で対応(少し忙しい)
↓
Aさんは病院に行って治療
↓
翌日、Aさんが復帰
↓
また2人体制に戻る
サービスを止めずに、交代で休む。
サーバーの場合
サーバー1が故障
↓
サーバー2が1台で処理(少し負荷が高い)
↓
エンジニアがサーバー1を修理・交換
↓
数時間後、サーバー1が復旧
↓
また2台体制に戻る
サービスを止めずに、修理・交換する。
飛行機に例えると
4発エンジンの飛行機:
1発が故障
↓
残り3発で飛び続ける
↓
着陸後、1発を修理
サーバーも同じ:
1台が故障
↓
残りのサーバーで動き続ける
↓
裏で修理・交換
「飛びながら修理」はできないけど、「動きながら交換」はできる。
小規模サービスの場合は?
予算がない場合
サーバー1台だけ
↓
壊れたら止まる
↓
修理するまで待つ
これは仕方ない。
予算がある場合
サーバー2台以上
↓
1台が壊れても止まらない
↓
修理は裏で行う
これが理想。
なぜ大手サービスは止まらないのか
Google、Amazon、銀行などの大手
莫大な投資
↓
何十台、何百台ものサーバー
↓
1台が壊れても、他のサーバーが処理
↓
「絶対に止まらない」仕組み
だから、Googleは止まらない。
中小企業のWebサイト
限られた予算
↓
サーバー1台、または2〜3台
↓
1台が壊れると、少し影響が出るかも
↓
でも、致命的にはならない(2台以上なら)
予算に応じた設計が大事。
まとめ:「1人しかいない」は危険
サーバーが壊れても止まらない仕組み
✅ ロードバランサー – 複数のサーバーにアクセスを振り分ける – コールセンターの代表番号のようなもの
✅ フェイルオーバー – 故障したら自動的に別のサーバーに切り替わる – 交代要員がいる体制
✅ バックアップ – データを複数の場所に保存 – 大阪店・東京店のように、情報を共有
コールセンターに例えると
仕組み | コールセンターの例 |
---|---|
ロードバランサー | 代表番号からの振り分け |
フェイルオーバー | 交代要員がいる |
バックアップ | 大阪店・東京店で情報共有 |
全部「複数で支え合う」仕組み。
中小企業でも分かる例
- オペレーターが2人なら、1人が休んでもサービスは止まらない
- 交代できるオペレーターがいれば、休んでも止まらない
- 大阪店が休みなら東京店で受ければ、止まらない
サーバーも同じです。
結論
適切に設計されたシステムでは、サーバーが壊れてもサービスは止まりません。
最低2台以上のサーバーを用意
↓
データは複数の場所に保存
↓
自動的に切り替わる仕組み
↓
「1人しかいない」状態を避ける
これが「サーバーが壊れても止まらない」秘訣です。
オペレーター1人だけの会社は、その人が休んだら止まります。 サーバーも同じで、1台しかないシステムは、壊れたら止まります。
だから、重要なサービスは必ず複数台で運用します。
よくある質問
Q1: サーバーが2台あれば安全? A: 2台でも十分。でも、3台以上ならもっと安全。大手は何百台も用意している。
Q2: 1台しかないサーバーはダメ? A: ダメじゃないけど、壊れたら止まる。予算があれば2台以上を推奨。
Q3: 修理にどれくらい時間がかかる? A: ハードウェア交換なら数時間。クラウドなら数分〜数十分で新しいサーバーを起動できる。
Q4: ユーザーは故障に気づく? A: 適切に設計されていれば、気づかないことも多い。一瞬「重いな」と思うかもしれないが、すぐに復旧。
Q5: 小さいWebサイトでも2台必要? A: 絶対に止めたくないなら2台。個人ブログなら1台でもOK。
トラブルシューティング
問題1: サーバーが1台しかない
対処法:
- 予算があれば、もう1台追加
- クラウドサービス(AWSなど)なら、簡単に追加できる
- レンタルサーバーなら、プラン変更で冗長化オプションを追加
問題2: データのバックアップがない
対処法:
- 今すぐバックアップを設定
- 複数の場所に保存
- 自動バックアップを有効化
問題3: 予算がない
対処法:
- せめてデータのバックアップだけは取る
- クラウドの無料枠を使う(AWSの1年間無料など)
- 最低限、データを失わない仕組みを作る
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