ネームサーバーって何?
答え:インターネット上の住所録。でも、初心者が触るとヤバイもの。
ネームサーバーって何? 設定を変更してって言われたけど、どうすればいい?
ちょっと待ってください。
ネームサーバーは、初心者が軽々しく触ってはいけないものです。
ネームサーバーとは
インターネット上の住所録
例:
あなたが「google.com」にアクセスしたい時:
1. ブラウザに「google.com」と入力
2. ネームサーバーに問い合わせ
「google.comの住所(IPアドレス)を教えて」
3. ネームサーバーが答える
「142.250.207.46です」
4. ブラウザがその住所にアクセス
5. Googleのサイトが表示される
つまり:
- ネームサーバー = インターネットの住所録
- 「名前」を「数字のアドレス」に変換してくれる
正式名称はDNS
DNS(Domain Name System):
- ネームサーバーの正式名称
- 「DNSサーバー」とも呼ばれる
この記事では「ネームサーバー」と呼びます。
いつ関わるのか
シーン1: Webサイトをサーバー移転する時
状況:
旧サーバー:A社のレンタルサーバー
新サーバー:B社のレンタルサーバー
Webサイトを引っ越したい
やること:
ネームサーバーの設定を変更
「example.comはA社のサーバーにあります」
↓
「example.comはB社のサーバーにあります」
シーン2: Google Workspace(メール)を導入する時
状況:
今まで:レンタルサーバーのメール機能を使用
これから:Google Workspaceのメールを使用
やること:
ネームサーバーの設定を変更
「example.comのメールはレンタルサーバーに届けて」
↓
「example.comのメールはGoogleに届けて」
シーン3: Webサーバーとメールサーバーを別々に運用する時
状況:
Webサイト:Xserverで運用
メール:Google Workspaceで運用
別々のサーバーに振り分けたい
やること:
ネームサーバーの設定を変更
「example.comのWebはXserverへ」
「example.comのメールはGoogleへ」
最も重要な注意点:すぐに反映されない
変更が反映されるまで時間がかかる
タイムライン:
0時間目:ネームサーバーを変更
↓
数時間〜2日:反映を待つ
↓
反映完了:新しいサーバーにアクセスできる
なぜ時間がかかるのか:
- ネームサーバーの情報は、世界中のサーバーに分散している
- 全世界に新しい情報が行き渡るまで時間がかかる
失敗したら、また数時間〜2日待つ
最悪のシナリオ:
0時間目:ネームサーバーを変更
↓
6時間後:「あれ?サイトが表示されない…」
↓
6時間目:設定ミスに気づく
↓
6時間目:元の設定に戻す
↓
6時間目〜2日後:また反映を待つ
↓
反映完了:やっと元に戻る
合計:最大4日間、サイトが正常に表示されない
その間、Webサイトもメールも影響を受ける
影響範囲:
Webサイト
- サイトが表示されない
- 「このサイトにアクセスできません」エラー
- 顧客がアクセスできない
メール
- メールが届かない
- 送信したメールが相手に届かない
- 受信したメールが届かない
つまり:
- ビジネスが止まる
- 顧客に迷惑がかかる
- 信頼を失う
失敗するとどうなるか
失敗例1: Webサイトが表示されない
状況:
ネームサーバーの設定を間違えた
↓
「example.com」にアクセスできない
↓
顧客:「サイトが見れません!」
↓
慌てて元に戻す
↓
また数時間〜2日待つ
↓
その間、サイトは表示されない
損失:
- 顧客がアクセスできない
- 売上機会の損失
- 信頼の低下
失敗例2: メールが届かない
状況:
ネームサーバーの設定を間違えた
↓
メールが届かない
↓
取引先からの重要なメールが届かない
↓
顧客:「メール送ったのに返事がない!」
↓
慌てて元に戻す
↓
また数時間〜2日待つ
↓
その間、メールは届かない
損失:
- 重要なメールを逃す
- 取引先の信頼を失う
- ビジネスチャンスを逃す
失敗例3: 新旧サーバーが混在
状況:
ネームサーバーの設定を変更
↓
反映が完了していない状態で、新旧サーバーが混在
↓
Aさん:旧サーバーにアクセス
Bさん:新サーバーにアクセス
↓
情報が不一致
問題:
- Aさんが見ているサイトとBさんが見ているサイトが違う
- フォームの送信先が混乱
- データの不整合
初心者が触ってはいけない理由
理由1: 専門知識が必要
必要な知識:
- DNSの仕組み
- Aレコード、MXレコード、CNAMEレコードなどの違い
- TTL(Time To Live)の設定
- ネームサーバーの仕様
初心者には:
- 理解が難しい
- 間違えやすい
- リカバリーが難しい
理由2: 失敗のリカバリーに時間がかかる
他の設定との違い:
通常の設定ミス(例:プラグインの設定)
設定を間違える
↓
すぐに元に戻す
↓
即座に反映
↓
問題解決(数分)
ネームサーバーの設定ミス
設定を間違える
↓
数時間〜2日後に気づく
↓
元に戻す
↓
また数時間〜2日待つ
↓
問題解決(最大4日間)
リカバリーに時間がかかりすぎる。
理由3: ビジネスに直接影響
影響範囲:
- Webサイトが表示されない → 顧客が離れる
- メールが届かない → 取引に支障
- 信頼を失う → 売上減少
たった1つの設定ミスで、ビジネスが止まる。
どうしても変更が必要な時
方法1: 専門家に相談
相談先:
- サーバー会社のサポート
- ホームページ制作会社
- ITコンサルタント
メリット:
- 安全に変更できる
- 失敗のリスクが低い
- 困った時にサポートしてもらえる
方法2: サーバー会社の移行サービスを使う
例:
- Xserver:「設定代行サービス」(有料)
- さくらインターネット:「サーバー移転サービス」(有料)
費用:
- 数千円〜数万円
メリット:
- プロが代行してくれる
- 失敗のリスクがない
- 安心
方法3: 必ず事前にバックアップ情報を控える
控えておくべき情報:
1. 現在のネームサーバー
例:
ns1.xserver.jp
ns2.xserver.jp
2. 現在のDNS設定
Aレコード:xxx.xxx.xxx.xxx
MXレコード:mail.example.com
3. 変更日時
2025年10月15日 10:00に変更
なぜ重要か:
- 失敗した時に元に戻せる
- 何を変更したか記録に残る
方法4: テスト環境で確認してから本番
手順:
- テスト用のドメインで試す
- 問題なければ本番ドメインで実施
- 慎重に進める
ネームサーバー変更の流れ(参考)
ステップ1: 現在の設定を控える
現在のネームサーバー:
ns1.xserver.jp
ns2.xserver.jp
現在のIPアドレス:
xxx.xxx.xxx.xxx
ステップ2: 新サーバーの情報を確認
新しいネームサーバー:
ns1.conoha.io
ns2.conoha.io
新しいIPアドレス:
yyy.yyy.yyy.yyy
ステップ3: ドメイン管理画面で変更
ドメイン管理会社(お名前.comなど)にログイン
↓
ネームサーバーの設定画面を開く
↓
新しいネームサーバーを入力
↓
保存
ステップ4: 反映を待つ
数時間〜2日待つ
↓
定期的に確認
↓
反映完了
ステップ5: 動作確認
Webサイトが正常に表示されるか確認
メールの送受信ができるか確認
よくある質問
Q1: ネームサーバーを変更しないといけない? A: サーバー移転やメール設定変更の時は必要。それ以外は触らなくてOK。
Q2: 反映までどれくらいかかる? A: 数時間〜2日。早ければ数時間、遅ければ48時間かかることも。
Q3: 反映中もサイトは見れる? A: 見れる場合と見れない場合がある。新旧サーバーが混在する期間がある。
Q4: 自分で変更できる? A: 知識があれば可能。でも、初心者は専門家に依頼すべき。
Q5: 失敗したらどうなる? A: サイトが表示されない、メールが届かない。ビジネスに直接影響。
トラブルシューティング
問題1: 変更後、サイトが表示されない
原因:
- 設定ミス
- まだ反映中
対処法:
- 24時間待つ(反映中の可能性)
- それでも表示されなければ、設定を確認
- わからなければ、サポートに連絡
問題2: メールが届かない
原因:
- MXレコードの設定ミス
- まだ反映中
対処法:
- 24時間待つ
- それでも届かなければ、MXレコードを確認
- わからなければ、サポートに連絡
問題3: 新旧サーバーが混在している
原因:
- 反映中(正常な状態)
対処法:
- 48時間待つ
- 完全に反映されるまで待つ
まとめ:ネームサーバーは慎重に扱う
ネームサーバーとは
✅ インターネット上の住所録 ✅ 「名前」を「数字のアドレス」に変換
いつ関わるか
- サーバー移転
- Google Workspace導入
- WebとメールをCONAMEサーバーに分ける
最も重要な注意点
❌ すぐに反映されない(数時間〜2日) ❌ 失敗したら、また数時間〜2日 ❌ Webサイトもメールも影響を受ける
初心者が触ってはいけない理由
- 専門知識が必要
- 失敗のリカバリーに時間がかかる
- ビジネスに直接影響
どうしても変更が必要な時
- 専門家に相談
- サーバー会社の移行サービスを使う
- 必ず事前にバックアップ情報を控える
結論
ネームサーバーは、初心者が軽々しく触ってはいけないもの。
特徴:
- 設定変更→反映まで数時間〜2日
- 失敗→元に戻すのもまた数時間〜2日
- Webサイトとメールに直接影響
「すぐ直せない」ということを理解しておくことが大切です。
変更が必要な時は、必ず専門家に相談してください。
関連記事
サーバー管理のプロだけど質問ある? いまさら聞けない質問の答えがここにある|svadmin.net