システム管理者の離職リスクにどう備えますか?

Q: システム管理者が突然辞めたら、会社のシステムはどうなりますか?
A: パスワードと手順書があれば、引き継ぎはスムーズにいきます。
まず、例え話で説明します
システム管理者は、ラーメン屋の店長のようなものです。
店長がいなくなると困ること:
- スープの作り方がわからない
- 仕込みの手順がわからない
- 仕入れ業者の連絡先がわからない
- レシピがどこにあるかわからない
でも、レシピと業者リストがあれば、新しい店長でもラーメン屋は続けられます。
システム管理も同じです。パスワード(鍵)と手順書(レシピ)があれば、引き継ぎは問題ありません。
離職は珍しくない
IT人材は転職が多い業界です。10人に1人以上が毎年転職しています。
参考データ:
- IT人材の離職率:年間15%
- 一般職の離職率:年間10%
「うちは大丈夫」と思っていても、いつ起こるかわかりません。
何が問題になるのか
問題1:パスワードがわからない
サーバー、ドメイン、メールなど、すべてのパスワードが管理者の頭の中だけにあると、引き継ぎ後に誰もログインできません。
よくあるトラブル:
- ドメイン更新のメールが前任者の個人アドレスに届く
- 更新を見落として、サイトが停止する
問題2:手順書がない
「バックアップはどうやって取るの?」 「トラブルが起きたら、誰に連絡すればいいの?」
こうした情報が文書化されていないと、後任者は何もできません。
問題3:引き継ぎ時間が足りない
理想は1ヶ月ですが、実際の引き継ぎ期間は平均1週間です。1週間では、すべての情報を引き継ぐのは無理です。
今すぐできる対策
対策1:パスワードを管理ツールに保存する
やること:
- パスワード管理ツールを導入(1Password、Bitwardenなど)
- すべてのログイン情報を登録
- 上司や後任候補者と共有
所要時間: 2時間 難易度: 簡単
これだけで、離職時のパニックは半分以下になります。
対策2:手順書を作る
必要な手順書:
- 毎日・毎週・毎月の作業リスト
- バックアップの取り方
- トラブル時の連絡先
フォーマット: Word、Markdown、Googleドキュメント、何でもOKです。大事なのは「書く」こと。
所要時間: 5時間(最初だけ) 難易度: 普通
対策3:ベンダー連絡先リストを作る
記録すべき情報:
サービス名:エックスサーバー
契約番号:12345
更新日:2026年3月15日
サポート電話:0120-XXX-XXX
管理画面URL:https://example.com/login
これをExcelまたはテキストファイルにまとめて、共有フォルダに保存します。
所要時間: 30分 難易度: 簡単
対策4:サブ担当者を決める
メイン担当者1人だけでなく、サブ担当者を1人決めます。
やること: 3ヶ月に1回、サブ担当者が単独でメンテナンスを実施。手順書通りにできるか確認します。
これをやっている企業は、離職時の混乱が圧倒的に少ないです。
所要時間: 月5時間(サブ担当者の学習時間) 難易度: 普通
対策5:クラウドサービスを使う
おすすめ:
- レンタルサーバー(エックスサーバー、さくら)
- パスワード管理(1Password、Bitwarden)
- ドキュメント共有(Google Drive、Dropbox)
クラウドサービスは管理画面がWeb上にあるため、属人化しにくいです。
良い例・悪い例
❌ 悪い例
- パスワードは管理者のメモ帳だけ
- 手順書は一切ない
- 「前任者に聞けばわかる」という状態
- 引き継ぎ期間は3日
→ 離職後、システムが止まる可能性が高い
✅ 良い例
- パスワード管理ツールで全員が共有
- 手順書がGoogleドキュメントにある
- サブ担当者が3ヶ月に1回メンテナンス実施
- 引き継ぎ期間は1ヶ月
→ 離職してもスムーズに移行できる
まとめ
結論:準備があれば、離職リスクは大幅に減ります。
今すぐやること:
- パスワード管理ツールを導入(2時間)
- 手順書を作成(5時間)
- ベンダー連絡先リストを作成(30分)
最初の一歩: まずはパスワード管理ツールを導入して、すべてのログイン情報を登録しましょう。これだけで、離職時の混乱が大幅に減ります。
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