なぜサーバールームはあんなに寒いんですか?

Q: サーバールームに入ったら、すごく寒かったです。なぜですか?
A: サーバーの熱暴走を防ぐためです。室温18〜22℃に設定しています。
まず、例え話で説明します
サーバールームの温度管理は、スーパーの冷蔵コーナーと同じです。
スーパーの冷蔵コーナー:
- 温度:4℃前後
- 理由:食品の鮮度を保つ
- 人には寒い
- でも、食品には最適
サーバールーム:
- 温度:18〜22℃
- 理由:サーバーの故障を防ぐ
- 人には寒い
- でも、サーバーには最適
なぜ寒くする必要があるのか
理由1:サーバーは大量の熱を発生する
サーバーの消費電力:
- 1台あたり:300W〜1,000W
- データセンター全体:数千台
参考データ:
- 家庭用ヒーター:1,000W(1台)
- サーバールーム:数百台のヒーターと同じ熱量
冷却しないと: 室温が50℃以上になります。
理由2:高温だとサーバーが故障する
適正温度:
- サーバーの動作温度:10℃〜35℃
- 推奨温度:18℃〜22℃
高温の影響:
- 30℃を超えると、故障率が2倍
- 40℃を超えると、故障率が4倍
- 50℃を超えると、停止
参考データ:
- 温度1℃上昇ごとに、故障率10%増加
理由3:データの損失を防ぐ
サーバーが故障すると:
- データが消える
- ビジネスが止まる
- 復旧に数日〜数週間
冷却のコストvs故障のコスト:
- 冷却費用:月10万円
- サーバー故障の損失:1回100万円〜
冷却する方が圧倒的に安いです。
サーバールームの温度管理
設定温度:18℃〜22℃
なぜこの温度?
- サーバーの動作に最適
- 故障率が最も低い
- 電気代とのバランス
人間にとって:
- やや寒い(快適温度は24℃〜26℃)
- 長時間作業するには上着が必要
冷却方法
1. エアコン(空調)
- 24時間365日稼働
- 冷気を床下から供給
- 暖気を天井から排出
2. 外気冷房
- 外の冷たい空気を取り入れる
- 電気代を節約(冬季)
3. 水冷システム
- 大規模データセンター
- 冷却水でサーバーを冷やす
温度が上がるとどうなるか
30℃の場合
影響:
- サーバーの動作が不安定
- ファンが全力回転(騒音大)
- 故障率が2倍
40℃の場合
影響:
- サーバーが自動停止
- データセンター全体が停止
- ビジネスへの影響大
参考データ:
- サーバー停止1時間:損失10万円〜100万円(ECサイトの場合)
50℃の場合
影響:
- ハードディスクが破損
- データが失われる
- 復旧不可能
データセンターの温度管理
監視システム
やっていること:
- 温度センサーで24時間監視
- 温度が上がるとアラート
- 自動で冷房を強化
冗長化
冗長化=予備を用意すること
エアコンの冗長化:
- メインのエアコン:2台
- 予備のエアコン:1台
- 1台が故障しても、残りが稼働
停電対策
UPS(無停電電源装置):
- 停電しても10分〜30分稼働
- その間に自家発電機を起動
自家発電機:
- 燃料があれば数日稼働
- エアコンも動く
自社サーバールームの温度管理
最低限やること
1. エアコンを設置
- 24時間稼働
- 設定温度:20℃
2. 温度計を設置
- 温度を常に確認
- 30℃を超えたら警告
3. 換気
- サーバーの排気を外に出す
- 熱がこもらないようにする
よくある失敗
❌ 失敗例1:夜間・休日にエアコンを切る
- サーバーは24時間稼働
- エアコンも24時間稼働させる必要がある
- 切ると、数時間で高温になる
❌ 失敗例2:窓のない部屋にサーバーを設置
- 熱がこもる
- エアコンが追いつかない
❌ 失敗例3:サーバーを密閉する
- 排気ができない
- サーバーの周りだけ高温になる
電気代について
サーバールームの電気代
内訳:
- サーバー:50%
- 冷房:40%
- その他:10%
月額電気代(10台のサーバー):
- サーバー:5万円
- 冷房:4万円
- 合計:9万円
冷房を止めると:
- 電気代:月5万円(4万円削減)
- サーバー故障:数十万円〜数百万円の損失
冷房を止めるのは、間違った節約です。
良い例・悪い例
❌ 悪い例
夜間・休日はエアコンを切る
→ サーバールームが40℃に
→ サーバーが停止
→ 朝、サイトが表示されない
→ 復旧に半日
✅ 良い例
24時間365日、エアコンを稼働
温度を20℃に設定
温度センサーで監視
→ サーバーが安定稼働
→ 故障なし
まとめ
結論:サーバーの熱暴走を防ぐため、室温18〜22℃に設定しています。
寒くする理由:
- サーバーは大量の熱を発生
- 高温だと故障率が2倍〜4倍
- データの損失を防ぐ
温度管理:
- 設定温度:18℃〜22℃
- 24時間365日稼働
- 温度センサーで監視
自社サーバールームの場合:
- エアコンを24時間稼働
- 設定温度:20℃
- 温度計で常に確認
最初の一歩: 自社でサーバーを運用している場合は、今すぐサーバールームの温度を確認しましょう。30℃を超えていたら危険です。エアコンの設定を20℃にして、24時間稼働させてください。
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