ドメインをWEB制作会社から所有権変更できますか?エックスサーバーでの譲渡体験談
ドメインをWEB制作会社から所有権変更できますか?
Q: WEB制作会社が取得したドメインの所有権を、クライアント(私)に変更できますか?
A: はい、できます。ただし本人確認書類の郵送が必要で、完了まで2〜3週間かかります。
まず、結論から
WEB制作会社が代理で取得したドメインは、所有権を譲渡できます。
ただし、エックスサーバーの場合:
- 本人確認書類のコピーが必要(運転免許証など)
- すべて郵送で手続き(オンラインでは完結しない)
- 完了まで2〜3週間かかる
- 制作会社とクライアントの両方が書類を提出
なぜこんなに面倒なのか
インターネット時代なのに郵送?
現代のクラウドサービスはほとんどオンラインで完結しますが、ドメインの所有権譲渡は別格です。
理由:
- ドメインは「インターネット上の不動産」
- 所有権の移動は重大な契約変更
- なりすましや不正譲渡を防ぐため、厳格な本人確認が必要
例え話:
銀行口座の名義変更と同じレベルの手続き
→ 本人確認なしではできない
→ オンラインだけでは完結しない
実際に経験した譲渡の流れ
私が実際に経験した、クライアント案件でのドメイン譲渡の全手順を紹介します。
背景
状況:
- クライアントのWEBサイトを制作
- ドメインは私(制作会社側)が代理取得
- 2年間の保守契約が終了
- ドメインの所有権をクライアントに譲渡することに
使用サービス: エックスサーバー(譲渡元・譲渡先とも同じサーバー会社)
手順1:エックスサーバーに譲渡申請
やること: エックスサーバーのサポートに「ドメイン譲渡をしたい」と問い合わせ
所要時間: 5分
やり方:
- Xserverアカウントにログイン
- 「サポート」→「お問い合わせ」
- 件名:「ドメイン譲渡の申請」
- 内容:以下の情報を記載
譲渡元XserverアカウントID: XXXXX
譲渡先XserverアカウントID: YYYYY
譲渡するドメイン名: example.com
注意点:
- 譲渡先(クライアント)のXserverアカウントIDが必要
- 事前にクライアントにアカウント作成をお願いする
手順2:エックスサーバーから申請書が郵送される
待ち時間: 3〜5営業日
何が届くか:
- ドメイン譲渡申請書(A4用紙)
- 記入例
- 返信用封筒(料金受取人払い)
申請書の内容:
□ 譲渡元(制作会社)の情報
- 氏名・住所・電話番号
- 印鑑(認印でOK)
- 本人確認書類のコピー添付
□ 譲渡先(クライアント)の情報
- 氏名・住所・電話番号
- 印鑑(認印でOK)
- 本人確認書類のコピー添付
手順3:クライアントに書類を送付
ここが一番面倒なステップです。
やること: クライアントに以下を郵送する必要があります。
送付物:
- エックスサーバーから届いた申請書
- 記入例(コピー)
- 本人確認書類提出のお願い文書(自分で作成)
- 返信用封筒(自分で用意)
私が用意した「お願い文書」の内容:
件名:ドメイン譲渡手続きのお願い
〇〇様
お世話になっております。
ドメインの所有権譲渡手続きに必要な書類をお送りします。
【お願いしたいこと】
1. 同封の申請書にご記入・押印
2. 本人確認書類(運転免許証など)のコピーを添付
3. 返信用封筒で当方にご返送
【本人確認書類について】
以下のいずれか1点のコピー
- 運転免許証(表裏両面)
- パスポート(顔写真ページ)
- マイナンバーカード(表面のみ、番号は隠してOK)
【期限】
〇月〇日までにご返送いただけますと幸いです。
ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
所要時間: 書類準備30分、郵送
待ち時間: クライアントの対応次第(通常1週間〜2週間)
手順4:クライアントから書類を受け取る
確認すること:
- [ ] 申請書に記入漏れがないか
- [ ] 押印されているか
- [ ] 本人確認書類のコピーが同封されているか
- [ ] 本人確認書類の文字が鮮明か
よくあるミス:
- 本人確認書類のコピーが不鮮明
- 裏面のコピーを忘れる(運転免許証の場合)
- 印鑑の押し忘れ
手順5:エックスサーバーに書類を郵送
やること:
- 譲渡元(自分)の欄に記入・押印
- 譲渡元(自分)の本人確認書類を添付
- クライアントから返送された書類と一緒にエックスサーバーに郵送
所要時間: 15分
送付先: エックスサーバーから届いた返信用封筒を使用(料金受取人払い)
手順6:譲渡完了を待つ
待ち時間: 2〜4営業日
完了通知: 譲渡元・譲渡先の両方に「ドメイン譲渡の手続き完了のお知らせ」メールが届く
確認すること:
- クライアントのXserverアカウントでドメインが管理できるか
- Whois情報が変更されているか
全体の流れ(タイムライン)
実際にかかった時間を整理すると:
日数 | 作業内容 | 担当 |
---|---|---|
1日目 | エックスサーバーに譲渡申請 | 制作会社 |
4日目 | エックスサーバーから申請書が届く | – |
5日目 | クライアントに書類を郵送 | 制作会社 |
12日目 | クライアントから書類が返送される | クライアント |
13日目 | エックスサーバーに書類を郵送 | 制作会社 |
17日目 | 譲渡完了の通知メールが届く | – |
合計:約2〜3週間
ドメイン譲渡と移管の違い
混同しやすい2つの用語を整理します。
ドメイン譲渡
意味: 所有権を別の人に移す
例:
- 制作会社 → クライアント
- 個人 → 法人
手続き:
- 本人確認が必要
- 郵送手続きが必要
- Whois情報が変更される
ドメイン移管
意味: 管理会社を変える
例:
- エックスサーバー → お名前.com
- ムームードメイン → エックスサーバー
手続き:
- 認証コード(AuthCode)が必要
- オンラインで完結
- 所有者は変わらない
よくある質問
Q1: 譲渡にお金はかかりますか?
A: エックスサーバーの場合、無料です。
注意点:
- 郵送費は自己負担(数百円)
- ドメイン管理会社によっては有料の場合もある
Q2: 本人確認書類はマイナンバーカードでもいいですか?
A: はい、使えます。
提出方法:
- 表面のみコピー(番号の記載がある裏面は不要)
- マイナンバー(個人番号)は黒塗りしてOK
使える本人確認書類:
- 運転免許証(表裏両面)
- パスポート(顔写真ページ)
- マイナンバーカード(表面のみ)
- 健康保険証(表裏両面)
- 住民票(発行から3ヶ月以内)
Q3: クライアントがエックスサーバーのアカウントを持っていない場合は?
A: 先にアカウントを作成してもらう必要があります。
手順:
- クライアントにエックスサーバーのアカウント作成をお願い
- XserverアカウントID(10桁の英数字)を教えてもらう
- そのIDを使って譲渡申請
注意: サーバー契約は不要、アカウント作成のみでOK
Q4: 譲渡後もWEBサイトは動き続けますか?
A: はい、サイトは停止しません。
理由:
- ドメインの所有者が変わるだけ
- ネームサーバー(DNS)設定はそのまま
- サーバーの契約も変わらない
変わること:
- ドメインの更新費用の請求先
- ドメインの管理権限
変わらないこと:
- WEBサイトの表示
- メールの送受信
- サーバーの契約
Q5: 郵送以外の方法はありませんか?
A: エックスサーバーでは郵送のみです。
理由: ドメインの所有権移転は法的に重要な手続きのため、厳格な本人確認が必要
他社の状況: 一部のレジストラ(ドメイン管理会社)では、オンライン完結の譲渡手続きもありますが、エックスサーバーは郵送必須です。
トラブルを避けるために
契約時に決めておくべきこと
WEB制作を依頼する際、以下を契約書に明記しておくとトラブルを防げます:
ドメインの所有者
良い例:
「ドメインの所有者はクライアントとし、制作会社は代理取得のみ行う」
悪い例(曖昧):
「ドメインは制作会社が管理する」
契約終了時の取り決め
良い例:
「契約終了時、ドメインの所有権は無償でクライアントに譲渡する」
悪い例(曖昧):
「契約終了後は別途協議」
制作会社側の注意点
最初からクライアント名義で取得する
一番スムーズな方法は、最初からクライアント名義で取得することです。
やり方:
- クライアントにエックスサーバーのアカウントを作成してもらう
- そのアカウントでドメインを取得
- 制作会社は「技術担当者」として登録
メリット:
- 譲渡手続きが不要
- 契約終了時もスムーズ
- クライアントの信頼を得られる
クライアント側の注意点
ドメインの所有者を確認する
WEB制作を依頼する際、必ず確認してください:
確認すべき質問:
「ドメインの所有者は誰になりますか?」
理想的な回答:
「お客様(あなた)名義で取得します」
注意が必要な回答:
「弊社名義で取得し、管理します」
→ 契約終了時に譲渡手続きが必要になる
ドメインを渡してもらえないトラブル
よくあるケース
ケース1: 契約書に記載がない
状況:
制作会社「契約書にドメイン譲渡について書いてないので、
渡すことはできません」
対策:
契約時に必ず「ドメイン所有権」について明記する
ケース2: 高額な譲渡費用を請求される
状況:
制作会社「ドメイン譲渡には30万円かかります」
対策:
事前に譲渡費用について確認する
通常、ドメイン譲渡は無料〜数千円程度
ケース3: 連絡が取れない
状況:
制作会社が倒産、または連絡が取れない
対策:
最悪の場合、ドメインを諦めて新規取得
(ただし、法的手段もあり得る)
他のドメイン管理会社の譲渡方法
エックスサーバー以外の主要サービスの譲渡手続きを比較します。
サービス | 譲渡手続き | 本人確認 | 所要期間 |
---|---|---|---|
エックスサーバー | 郵送 | 書類郵送 | 2〜3週間 |
お名前.com | オンライン | メール認証 | 3〜7日 |
ムームードメイン | 問い合わせ | 書類郵送 | 2〜4週間 |
バリューノート | オンライン | メール認証 | 1週間 |
参考: 各社で手続きが異なるため、事前に確認してください。
まとめ
ドメインの所有権変更は可能ですが、思った以上に時間がかかります。
所要期間:
- エックスサーバーの場合:2〜3週間
- 本人確認書類の郵送が必須
スムーズに進めるコツ:
- 最初からクライアント名義で取得する
- 契約書にドメイン所有権を明記する
- 余裕を持ったスケジュールで手続きする
トラブルを避けるために:
- WEB制作を依頼する際、ドメインの所有者を確認
- 契約終了時の取り決めを明確にする
- 制作会社側は「技術担当者」として登録する方式を検討
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