サーバー管理者になるにはどうすればいい?スクール不要の実践的な学習法
サーバー管理者になるにはどうすればいい?
Q: 社内SEに突然なってしまいました。サーバー管理を任されたんですが、何から勉強すればいいですか?スクールに通うべきでしょうか?
A: スクールは不要です。自分でレンタルサーバーを契約して、WordPressサイトを立ち上げてください。実際に触って、失敗して、直す。これが最も力になります。
まず、あなたの不安、よく分かります
こんな状況ではありませんか?
「来月から社内SEね」
→ え、急に?
「サーバー管理をお願い」
→ やったことないんですけど...
「前任者は退職しました」
→ 誰に聞けばいいの?
「何かあったら責任重大」
→ 不安しかない
この気持ち、本当によく分かります。
でも、大丈夫です。 サーバー管理者になるために、特別な才能は要りません。 正しい方法で学べば、誰でもできるようになります。
最初に結論:スクールは不要です
よくある勘違い
多くの人が考えること:
「専門的な知識が必要だ」
→ スクールに通おう
→ 資格を取ろう
→ 本を読もう
でも、それは間違いです。
なぜスクールは不要なのか
理由1:サーバー管理は座学だけでは身につかない
サーバー管理は、スポーツや楽器、車の運転と同じです。
車の運転:
- 教習所で理論を学ぶ
- でも、実際に運転しないと上手くならない
- 何度も練習して、慣れる
サーバー管理も同じ:
- 本を読んでも、実際に触らないと分からない
- トラブルに対処して、初めて身につく
- 実践あるのみ
理由2:想定外の事態に対処する力が求められる
スクールで習うこと:
「こういう時は、こうします」
→ 想定内のことだけ
実際の現場:
「習ってない状況」が9割
→ 想定外の連続
→ 「それは習ってません」は通用しない
必要なのは:
- 習ったことを再現する力ではなく
- 自分で調べて、解決する力
理由3:スクールは高額
サーバー管理スクール:
- 受講料:30万円〜100万円
- 期間:3〜6ヶ月
でも:
- 実務では役に立たないことが多い
- お金と時間の無駄
同じお金があれば:
レンタルサーバー:月1,000円 × 12ヶ月 = 12,000円
独学用の本:10冊 × 3,000円 = 30,000円
合計:42,000円
→ スクールの1/7の費用
→ 実践的なスキルが身につく
資格も不要です
よくある質問:「資格は取るべきですか?」
答え:不要です。
理由:
資格があっても:
→ 実務ができるわけではない
実務経験があれば:
→ 資格がなくても信頼される
よくある資格
サーバー管理関連の資格:
□ LPIC(Linux技術者認定試験)
□ オラクルマスター(Oracleデータベース)
□ LinuC(Linux技術者認定)
□ AWS認定(クラウド)
これらは不要です。
資格の勉強をする時間があったら
こちらに時間を使ってください:
1. Bashのスキルを上げる
✅ シェルスクリプトを書く
✅ ワンライナーで処理を自動化
✅ パイプとリダイレクトを使いこなす
→ 実務で毎日使う
→ 資格より100倍役立つ
2. SQLのスキルを上げる
✅ SELECT文を使いこなす
✅ JOIN、GROUP BY、サブクエリ
✅ インデックスとパフォーマンス
→ データベース管理で必須
→ 資格の問題より実践的なSQL
3. Linuxのシステムコマンドを覚える
✅ プロセス管理(ps, top, kill)
✅ ディスク管理(df, du, fdisk)
✅ ネットワーク(netstat, ss, ip)
✅ ログ調査(grep, awk, sed)
→ トラブル対応で毎回使う
→ 体で覚える
資格が役立つ場面もある(例外)
唯一、資格が役立つのは:
□ 転職時の履歴書に書く
□ 社内評価(昇給・昇格)に使われる会社
□ 自信をつけるため
でも、実務能力とは別物
私の意見:
資格の勉強をする時間があるなら、
Bash、SQL、Linuxコマンドのスキルを上げてください
実務で役立つのは、こちらです
最も効果的な学習方法:実践あるのみ
方法1:自分でレンタルサーバーを契約する
これが最も力になります。
やること:
1. レンタルサーバーを契約(月1,000円程度)
2. WordPressをインストール
3. サイトを公開
4. カスタマイズ
5. トラブル対応
なぜこれが良いのか:
✅ 実際の環境で学べる
✅ 失敗してもいい(自分のサーバーだから)
✅ 何度でも試せる
✅ トラブル対応の経験が積める
おすすめレンタルサーバー:
サーバー | 月額料金 | 特徴 |
---|---|---|
エックスサーバー | 990円〜 | 初心者向け、管理画面が分かりやすい |
ConoHa WING | 678円〜 | 高速、WordPressに特化 |
さくらのレンタルサーバ | 425円〜 | 格安、老舗 |
どれでもOKです。まずは契約してみてください。
具体的な学習手順:
ステップ1:WordPressをインストール
→ 管理画面からワンクリックで可能
→ 所要時間:5分
ステップ2:サイトを公開
→ テーマを選んで、記事を書く
→ 実際にインターネットに公開される
→ 達成感がある
ステップ3:カスタマイズ
→ テーマを変更してみる
→ プラグインを追加してみる
→ 失敗したら元に戻す
→ 何度も繰り返す
ステップ4:トラブル対応
→ 画面が真っ白になった!
→ ログインできない!
→ サイトが表示されない!
→ 自分で調べて解決する
→ この経験が最も力になる
方法2:自作パソコンでLinuxサーバーを作る(上級者向け)
私がやったこと:
1. パソコンを自作
2. Linuxをインストール
3. サーバーを公開
4. 自宅からインターネットに公開
→ これが今の仕事に最も役立っている
なぜこれが良かったのか:
✅ サーバーの中身が全て分かる
✅ トラブル対応の経験が豊富に積める
✅ Linuxのコマンドに慣れる
✅ ネットワークの知識も身につく
ただし、初心者には難しい:
❌ パソコン自作の知識が必要
❌ Linuxのコマンドを覚える必要がある
❌ ネットワーク設定が難しい
❌ セキュリティリスクがある
初心者は、まず「方法1」から始めてください。
方法3:先輩に教えてもらう(理想)
もし身近に先輩がいるなら:
✅ 直接教えてもらえる
✅ 質問できる
✅ 実務の流れが分かる
→ これが最も効率的
でも、いない場合が多い:
「前任者は退職しました」
「社内にサーバー管理者がいません」
「自分が最初の担当です」
→ どうすれば...?
方法4:AIに教えてもらう(2025年の新常識)
先輩がいないなら、AIが良い先生になります。
使えるAI:
- ChatGPT
- Claude
- Copilot
AIの活用方法:
例1:エラーメッセージを解決
「このエラーが出ました。どうすればいいですか?」
AI:
「それは〇〇が原因です。
以下の手順で解決できます:
1. ...
2. ...」
例2:コマンドの使い方を聞く
「Linuxで、ファイルの一覧を表示するコマンドは?」
AI:
「lsコマンドです。
使い方:
ls -la
(詳細表示、隠しファイルも含む)」
例3:設定ファイルを確認
「Apache の設定ファイルは、どこにありますか?」
AI:
「通常、/etc/httpd/conf/httpd.conf にあります」
AIの良いところ:
✅ 24時間いつでも質問できる
✅ 何度質問しても嫌な顔をしない
✅ 初歩的な質問でもOK
✅ 無料(ChatGPTは無料版でも十分)
注意点:
❌ AIの回答が100%正しいわけではない
❌ 鵜呑みにせず、自分でも確認する
❌ セキュリティ情報は最新かチェック
ポートフォリオを作る:技術ブログを書こう
「ポートフォリオがない」という勘違い
よくある悩み:
「プログラマーと違って、
サーバー管理者にはポートフォリオがない」
→ そんなことはありません!
サーバー管理者のポートフォリオ:
✅ 技術ブログ
✅ Qiita の記事
✅ はてなブログ の記事
✅ Zenn の記事
→ これが立派なポートフォリオです
技術ブログに書くこと
初心者でも書けるネタ:
1. 今日学んだこと
「Linuxのdfコマンドの使い方を覚えた」
「WordPressのバックアップを取る方法」
→ 学習記録として書く
→ 後で自分でも見返せる
2. トラブルと解決方法
「サイトが表示されなくなった時の対処法」
「ディスクが満杯になった時の解決方法」
→ 同じ問題で困っている人の役に立つ
→ Googleで検索されるようになる
3. 便利なツールの紹介
「サーバー監視に使っているツール」
「バックアップに使っているプラグイン」
→ 自分の知見をシェア
技術ブログを書くメリット
1. 転職時のアピール材料になる
面接官:
「どんな勉強をしてきましたか?」
あなた:
「技術ブログに書いています。
こちらをご覧ください」
→ 実績が目に見える
→ 説得力がある
2. 知識が整理される
✅ 書くことで理解が深まる
✅ 自分の言葉で説明する練習
✅ 曖昧な理解がクリアになる
3. 人脈ができる
✅ 記事を読んだ人からコメント
✅ SNSでシェアされる
✅ 同じ分野の人と繋がれる
おすすめのブログサービス
Qiita(キータ)
✅ エンジニア向けの記事共有サービス
✅ マークダウンで書ける
✅ 無料
✅ SEOに強い
→ 技術記事を書くならここ
Zenn(ゼン)
✅ 技術記事に特化
✅ 本も出版できる
✅ マークダウンで書ける
✅ 無料
→ Qiitaと並んで人気
はてなブログ
✅ 技術記事以外も書ける
✅ ブログとしての自由度が高い
✅ 無料版でもOK
→ 雑記も書きたい人向け
自分のWordPressサイト
✅ 完全に自分のもの
✅ カスタマイズ自由
✅ SEO対策も自分でできる
→ 上級者向け
書き方のコツ
コツ1:完璧を目指さない
❌ 完璧な記事を書こうとする
→ 書けなくなる
✅ 今の理解で書く
→ 後で追記・修正すればOK
コツ2:未来の自分に向けて書く
「半年後の自分が読んで、
思い出せるように書く」
→ 他人に向けて書くより気楽
コツ3:小さなことから書く
「今日やったこと」
「つまずいたポイント」
→ 大きな記事を書く必要はない
→ 積み重ねが大事
社外の情報シスの人と交流する
なぜ交流が重要なのか
社内だけだと:
→ 自社のやり方しか知らない
→ 「これが普通」と思い込む
→ 井の中の蛙
社外の人と交流すると:
→ 他社のやり方を知れる
→ 自社の問題点に気づく
→ 新しいツールや技術を知れる
→ 悩みを共有できる
交流の方法
方法1:勉強会・コミュニティに参加
おすすめコミュニティ:
□ WordPressもくもく勉強会
□ インフラ勉強会
□ Linux Users Group
□ JAWS-UG(AWSユーザーグループ)
探し方:
- connpass(勉強会検索サイト)
- Doorkeeper
- Meetup
参加のハードルが低い:
✅ 初心者歓迎の勉強会が多い
✅ オンライン開催も多い
✅ 参加費:無料〜1,000円程度
方法2:SNSで情報シスの人をフォロー
おすすめSNS:
- X(Twitter)
- Qiita
- Zenn
やること:
1. 「インフラエンジニア」「サーバー管理」で検索
2. 情報を発信している人をフォロー
3. 投稿を読む
4. 質問してみる
→ 意外と親切に教えてくれる
方法3:社外の勉強会で発表する
ハードルが高そうですが:
「今月やったこと」
「トラブルと解決方法」
「便利なツールの紹介」
→ こういう発表でOK
→ 初心者の発表ほど、需要がある
発表するメリット:
✅ 知識が整理される
✅ フィードバックがもらえる
✅ 人脈ができる
✅ 自信がつく
実践的な学習ロードマップ
1ヶ月目:基礎を固める
やること:
□ レンタルサーバーを契約
□ WordPressをインストール
□ サイトを公開
□ 基本的な操作に慣れる
学ぶこと:
- サーバーの管理画面の使い方
- WordPressの基本操作
- ファイル構成
- データベースの概念
所要時間: 週5時間 × 4週間 = 20時間
2〜3ヶ月目:実践経験を積む
やること:
□ テーマを変更してみる
□ プラグインを追加してみる
□ トラブルを起こして、解決する
□ バックアップを取る
学ぶこと:
- トラブルシューティング
- ログの見方
- バックアップとリストア
- セキュリティ対策
所要時間: 週10時間 × 8週間 = 80時間
4〜6ヶ月目:応用編
やること:
□ 複数のサイトを運用
□ SSL証明書の設定
□ 独自ドメインの設定
□ メールサーバーの設定
学ぶこと:
- DNS設定
- SSL/TLS
- メール設定
- ドメイン管理
所要時間: 週15時間 × 12週間 = 180時間
6ヶ月後:一人前
できるようになること:
✅ WordPressサイトの運用
✅ 基本的なトラブル対応
✅ バックアップとリストア
✅ セキュリティ対策
✅ ドメイン・DNS設定
合計学習時間: 約280時間
これで:
社内SEとして、
最低限の仕事はできるようになります
よくある質問
Q1: 本当にスクールなしで、独学でできますか?
A: できます。私もそうでした。
私の場合:
✅ スクールには通っていない
✅ 資格も持っていない
✅ 自作パソコン + Linux + 実践
→ それで今、サーバー管理者として働いています
大事なのは:
- スクールや資格ではなく
- 実践経験
Q2: 何から始めればいいですか?
A: まず、レンタルサーバーを契約してください。
手順:
1. エックスサーバーを契約(月990円)
2. WordPressをインストール
3. サイトを公開
4. 触ってみる
→ 今日から始められます
理由:
本を読むより、実際に触る方が早い
Q3: 失敗が怖いです。
A: 失敗してください。それが学びです。
失敗は:
❌ 悪いことではない
✅ 最高の学習機会
失敗しないと:
→ トラブル対応の経験が積めない
→ 実務で困る
自分のサーバーなら:
✅ 失敗しても誰にも迷惑をかけない
✅ 何度でもやり直せる
✅ 安心して失敗できる
→ だから、自分のサーバーを持つべき
Q4: どれくらいの期間で、仕事ができるようになりますか?
A: 6ヶ月で最低限、1年で一人前です。
6ヶ月後:
✅ WordPressサイトの運用
✅ 基本的なトラブル対応
✅ バックアップとリストア
→ 社内SEとして最低限の仕事はできる
1年後:
✅ サーバー移行
✅ セキュリティ対策
✅ パフォーマンスチューニング
→ 一人前
Q5: 先輩がいません。どうすればいいですか?
A: AIを活用してください。
具体的な使い方:
ChatGPTに:
「Linuxで、ディスク容量を確認するコマンドは?」
回答:
「df -h コマンドです」
→ 実際に試してみる
→ できた!
AIは:
✅ 24時間質問できる
✅ 初歩的な質問でもOK
✅ 何度質問しても嫌な顔をしない
→ 先輩がいないなら、AIが先輩
私の経験談
自作パソコンとLinuxが今の仕事に役立っている
私がやったこと:
1. パソコンパーツを買って自作
2. Linuxをインストール
3. Apacheをインストール
4. 自宅サーバーを公開
5. ドメインを取得
6. 外部からアクセスできるようにした
これで学んだこと:
✅ ハードウェアの知識
✅ OSのインストール
✅ ネットワーク設定
✅ セキュリティ対策
✅ トラブルシューティング
今の仕事で役立っていること:
✅ サーバーの中身が全て分かる
✅ トラブルが起きても慌てない
✅ 原因を特定できる
✅ 解決策を自分で考えられる
失敗も含めて、全てが経験
失敗した経験:
❌ サーバーがハッキングされた
❌ ディスクが満杯になってサイトが止まった
❌ 設定ミスでサーバーが起動しなくなった
でも:
✅ そのたびに調べて、解決した
✅ 同じ失敗を繰り返さなくなった
✅ トラブル対応力がついた
→ 失敗は最高の教材
まとめ
サーバー管理者になるために、スクールや資格は不要です。
必要なのは:
- 実践経験
- 自分で調べる力
- トラブルに対処する力
最も効果的な学習方法:
- 自分でレンタルサーバーを契約
- WordPressサイトを立ち上げる
- 実際に触って、失敗して、直す
- AIを活用して質問する
- 社外の情報シスと交流する
学習ロードマップ:
- 1ヶ月目:基礎を固める
- 2〜3ヶ月目:実践経験を積む
- 4〜6ヶ月目:応用編
- 6ヶ月後:一人前
大事なこと:
サーバー管理は:
- スポーツや楽器と同じ
- 実践あるのみ
- 失敗して、学ぶ
「それは習ってません」は通用しない
→ 自分で調べて、解決する力が大切
今日から始めてください:
- レンタルサーバーを契約
- WordPressをインストール
- 触ってみる
焦らなくて大丈夫です。 誰でも最初は初心者です。 実践を繰り返せば、必ずできるようになります。
次に読むべき記事:
サーバー管理のプロだけど質問ある? いまさら聞けない質問の答えがここにある|svadmin.net